大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和61年(わ)5871号 判決 1987年4月28日

本籍

大阪府泉大津市助松町二丁目四五五番地

住居

同府堺市甲斐町西一丁一番二八号 サンハイム宿院二〇一号

婦人用洋品雑貨小売業

清藤三男

昭和一五年七月一四日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官長谷川充弘出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金二八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一五万円を一日に換算した期間(端数は一日に換算する)被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪府泉大津市二田町二丁目四番三六号を納税地とし、同府富田林市若松町一丁目五番一五号などにおいて、婦人用洋品雑貨小売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法によりその所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和五七年分の実際総所得金額が三八一一万一〇四三円あった(別紙(一)修正貸借対照表参照)のにかかわらず、同五八年三月一五日、大阪府泉大津市二田町一丁目一五番二七号所在の所轄泉大津税務署において、同税務署長に対し、同五七年分の総所得金額が一九四万二一七八円でこれに対する所得税額が九万二四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額一六七五万二五〇〇円と右申告税額との差額一六六六万〇一〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

第二  同五八年分の実際総所得金額が一億一二六三万五四四一円あった(別紙(二)修正貸借対照表参照)のにかかわらず、同五九年三月一五日、前記泉大津税務署において、同税務署長に対し、同五八年分の総所得金額が三二二万九八七四円でこれに対する所得税額が二二万八八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額六八八二万一八〇〇円と右申告税額との差額六八五九万三〇〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

第三  同五九年分の実際総所得金額が六二四二万〇七五一円あった(別紙(三)修正貸借対照表参照)のにかかわらず、同六〇年三月一五日、前記泉大津税務署において、同税務署長に対し、同五九年分の総所得金額が四四〇万五八一一円でこれに対する所得税額が四六万四七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額三一一九万四三〇〇円と右申告税額との差額三〇七二万九六〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書(証拠等関係カード検察官請求分番号63)

一  被告人に対する収税官吏の質問てん末書一八通(前記番号45ないし62)

一  清藤久子(前記番号39)、藤本靜男(前記番号40)及び西川豊子(前記番号41)の検察官に対する供述調書各一通

一  収税官吏作成の査察官調査書二六通(前記番号8ないし12、14、17ないし28、30、32ないし38)

一  泉大津税務署長作成の青色申告承認の取消に関する証明書(前記番号7)

判示第一及び第三の各事実につき

一  収税官吏作成の査察官調査書(前記番号16)

判示第二及び第三の各事実につき

一  収税官吏作成の査察官調査書二通(前記番号15、29)

判示第一の事実につき

一  泉大津税務署長作成の証明書(所得税確定申告書写添付のもの)(前記番号4)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号1)

判示第二の事実につき

一  泉大津税務署長作成の証明書(所得税確定申告書写添付のもの)(前記番号5)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号2)

判示第三の事実につき

一  泉大津税務署長作成の証明書(所得税確定申告書写添付のもの)(前記番号6)

一  収税官吏作成の脱税額計算書(前記番号3)

一  収税官吏作成の査察官調査書二通(前記番号13、31)

(法令の適用)

一  罰条

判示各所為につきいずれも所得税法二三八条一、二項

一  刑種の選択

いずれも懲役刑及び罰金刑併科

一  併合罪の処理

刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪に加重)、罰金刑につき同法四八条二項

一  労役場留置

刑法一八条

一  刑の執行猶予

刑法二五条一項(懲役刑につき)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松本信弘)

別紙(一)

修正貸借対照表

No. 1

昭和57年12月31日

<省略>

別紙(二)

修正貸借対照表

No. 1

昭和58年12月31日

<省略>

別紙(三)

修正貸借対照表

No. 1

昭和59年12月31日

<省略>

別紙(四)

税額計算書

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例